80歳になった自分

20年以上歯医者をやっていると、今診ている患者さんの口の中の今後の流れが想像できるようになってくる。

 

奥歯でしっかりと噛めなくなり、残った前歯も奥歯が入れ歯だと負担に負けて遅からず抜歯になり、いずれは総入れ歯だろうなぁ...とか。

ここでインプラントを入れて奥歯で噛めるところを作っておけば、前歯の寿命は飛躍的に(場合によっては何十年と)違ってくると思って説明はするのだが

「年だから仕方ない」とか

「もう後10年も生きないからいいよ」とか

そんな言い方をする人が多い。

 

無理に自費を薦める歯医者だと思われるのも嫌なので、一応説明だけはして患者さんの意向に合わせるけども「年だから仕方ない」「もう後10年も生きないからいいよ」という返事が気に入らない。

 

そりゃぁ歯の質だとか、顎の骨の質だとか、噛み合わせ、口腔内の細菌の状態とかは遺伝や家庭環境による部分もあるだろう。自分の親が若くして総入れ歯だったから、自分もいずれそうなるのは仕方ないという考え方は「諦め」である。自分の親が顎の骨が弱かったから歯周病に気をつけて歯磨きを頑張り定期的に歯医者さんで掃除をしてもらって...と考えられないんだなぁ...

人間って簡単には進化しない生き物だと思う。

 

「後10年も生きない」って言うのは、まず平均寿命と天寿の違いが分かってない。俺だって後何年生きるか分からないし、今日死ぬかもしれない。誰だってそうである。

ウチではインプラントは1歯30万円である。自分がインプラントを考える状況になった時に30万円は即答できる金額ではない。悩むのも分かる。

舌でつぶせる位の柔らかい介護食は1食で1200円だそうだ。1日3食で3600円。1月約10万円。3ヶ月でインプラントと同じ値段になる。実際は食費で月に10万円を出せる人は少ないだろうからお粥やゼリーなどを食べさせている家庭も多いのが現状である。

何ヶ月も何年もお粥やゼリーを食べる生活と、家族と同じ食事を摂れる生活とどちらが良いか。

 

「とりあえず今が良ければ」という考え方は後々苦労する可能性が高い。単純に歯の話だけでなく、日頃の食事や運動、近所付き合いも含めて80歳になった自分に「あの時に運動してくれてありがとう。今でも歩けるよ。」「あの時、近所の会合に参加してくれてありがとう。今でもご近所さんが気にかけてくれてるよ。」とか「あの時、歯医者に行ってくれてありがとう。今でも何でも食べられるよ。」って言ってもらえるように今を生きて欲しいと思う。

(医)聖湘会

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