10年以上ぶりに来た患者さんの口の中は、何本か歯が抜けていてボロボロだった。
「怒られると思ったから来なかった」と、その患者さんは言った。
そんなに俺って怖いかなぁ...
「怒られると思った」って言う患者さんはたま~にいる。でも、そう言うってことは俺が怒らないからだ。
ま、怒る歯医者さんもいるであろう。
「なんでこんなになるまで放っておいた?」って言う人はいるらしい。俺は絶対に言わないけど。
「怒りませんよ。だって損をしてるのは私じゃなくてアナタなんですから。」と言う。
ネットのニュースにリンク貼って怒ってる人って結構いますよね。「売上げが増えない」と悩む人も結構いる。「怒る」「悩む」は負のエネルギーだ。個人的には使えるエネルギーが決まっているなら負のエネルギーに使いたくない。怒りをエネルギーに変えて頑張る!って人もいるとは思うけど、あんまり健全な感じはしない。
「怒り」「悩み」をすることによって、世の中が良くなれば良いのだけれど、「怒り」や「悩み」は何も生み出さない事の方が多く、場合によってはより悪化させる事もあると思う。
ネットのニュースに怒る人も不快なニュースを拡散させて、怒りの輪を広げて、同意してくれる仲間を増やしてはいるけれど、プラスの何かを生み出すことはない。問題を解決するのは「怒り」ではなく「考える」ことだ。
「売上げが増えない」なら「悩む」のではなくて、どうやったら売上げが増えるか「考える」べきだ。
考えて、行動に移して、初めて意味をもつ。
とはいえ「親が虐待で幼児を殺した」ってニュースを聞いて、怒りから「親を死刑にしろ!」と思って行動に移すのはロクな結果にならない。
怒って良いことなんかないのだ。冷静に考えて行動に移さなければいけない。
医療関係者は利他的すぎるのも良くないと思う。実際、利他的な看護師は抗鬱薬や眠剤の使用率は高いらしい。
「では、アナタは患者が無断キャンセルして来なくなって、何年か経ってからボロボロの口で来院した時に怒りは感じないの?」と聞かれたら、「無断キャンセルして来なくなった時は怒ってるけど、再び来院した時点で赦している」と答える。
治す気になってるんだから、怒る必要はない。
ということで、「怒られる」と思って歯医者に行けてない方々、怒りませんので早めに歯医者に行ってくださいませ。