下顎が痛いという症状について

まれにですが「下顎が痛い」という主訴で来院される患者さんがいます。

「噛むといたい」「凍みる」などの症状もあれば、歯が原因であることも多いのですが、そのような症状なく単に「下顎が痛い」という場合は歯が原因でない場合もあります。

虫歯もなく、歯周病の症状も見られない場合は先ずレントゲンで確認しますが、レントゲンで原因が分かるものとしては

1）親知らずが生えてきた

2）神経を抜いた歯（もしくは神経が死んでいる歯）の根の先から膿んでいる

3）腫瘍

4）唾石（唾液腺または管の中に石ができる）

などであればレントゲンに写りますから、ある程度の診断はつけられます。しかし、特に所見がない場合...

「狭心症」の可能性があります。

狭心症は心臓の血管が細くなる病気。心臓が痛みを感じることもありますが、関連痛として下顎の痛み（主に左側、まれに右側にも）として出る場合があります。

内科的な持病で通院中の方は、検査を受けて知っている場合もありますが、無自覚な場合もあります。この場合は歯科のテリトリーを超えるので「お医者さんに相談してください。」と説明しています。

狭心症を知らなかったという患者さんには「心筋梗塞は心臓の血管が詰まる病気ですが、狭心症は心臓の血管が細くなる病気で放置しておくと心筋梗塞になる可能性もある。」というように説明しますが、主治医に「歯医者で心筋梗塞の可能性があるって言われた。」と騒ぐ患者さんもいたりして...（心筋梗塞ならそんな元気はないはずです）

もちろん狭心症以外の可能性もありますが、この前いらした患者さんは実際に狭心症がみつかり、今度ステント手術を受けるそうです。

「先生のおかげで命拾いしました。」とおっしゃっていました。

例えば内科のお医者さんなら、他の科の知識も持った上で内科に特化している筈です。歯科も医科の知識をある程度持ちつつ歯科に特化しています。歯科を受診する際にはお薬手帳、血液検査などを受けている場合は検査結果を持って受診するようにしてください。